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番外編 おかえり

「おぅ、たいくん、ここちゃん。楽しいか、そうか。良かったな」 伊澤さんの表情が明るくなり笑顔で手を振ると、おいで!一緒に遊ぼう!と言わんばかりに手招きされた。 「遊ぶなら俺なんかより若いじぃ――たちのほうがいいだろうに。たく、しょうがねぇな。靴を履き替えてくるからちょっと待っててな。ヤス、佐治、ちょっくら行ってくる」 「いってらっしゃい」 二人に見送られ伊澤さんが玄関へ急いで向かった。口ではしょうがねぇなと言いながらも伊澤さんは嬉しそうだった。 「佐治は行かないのか?」 「俺が行ったら収拾がつかなくなるだろ?」 「それもそうだな」 くすりと笑うヤスさん。 「オヤジは譲治をどうするつもりでいるんだ?」 「ヤクザにだけはさせたくないと言ってたな。社会経験を積ませて一人立ち出来るようにサポートしたいって。まず手始めに菱沼金融でバイトをさせるって話しだ。菱沼金融には亜優もナオもいるからな。なんとかなるんじゃないか」 「ヤス、佐治、取り込み中すまんな。ちょっといいか?」 蜂谷さんが姿を現した。 「取り込み中でも何でもねぇよ」 「真ん中がいいだろう?」 佐治さんがお尻を右にずらし場所を空けてくれた。 「ハチも子どもたちを見に来たか?」 「あぁ、そうだ。と言いたいところだが、ヤスと佐治にどうして見てもらいたい写真があるんだ」 胡座をかいて蜂谷さんが腰を下ろした。

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