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番外編 おかえり

「俺か?福島県民になってまだ十五年くらいだ。役にか分からないぞ」 「俺はヤスさんより短いです」 「そんな難しいことではない。この風景に見覚えがないか、それを聞きたかったんだ。震災前の写真だから、だいぶ風景は変わっていると思うが」 「海か、ここがどこだって特定するのはかなり難しいぞ」 「さすがは吉村だ。あの携帯のデータを復元出来たかのか」 「あぁ。天才としかいいようがない」 「やっぱりオヤジが見込んだだけはある。ためしに福島市から電車で行ける距離にある福島の海で検索をかけてみるか」 ヤスさんが携帯を取り出した。 「どうしたヤス?」 「四季から電話があった。ぜんぜん気づかなかった。何かあったかな。佐治、悪いが俺の代わりに検索してくれ」 スッと立ち上がるとそそくさと違う場所に移動した。 「ヤス兄貴丸投げしないでくださいよ。四季のことになると人が変わるんだから。過保護は四季のためによくありませんよって言っても聞いてないですね」 はぁ~~とため息をつくと、携帯で検索をはじめた。 「海の家に遠足で行ったとかじゃないですか。探しようがないですよ。海と空しか写ってないんですよ。これ。せめても灯台とかきのこ岩とか堤防とかそのあたりまで写してもらわないと」 「まぁ、そう言わず頼むよ」 蜂谷さんがごねる佐治さんの頭をクスクスと笑いながらぽんぽんと撫でた。

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