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番外編 おかえり
「今、いいですよ。忙しくないですよ。どうしたんですか?」
「これを覃に読ませたい」
白い便箋を差し出された。
「もしかしてラブレターですか?」
「そんなんじゃないです。ただ、あの……その……」
顔を真っ赤にモジモジする譲治さん。
「――だから……」
「すみません。よく聞きとれなかったのでもう一回言ってもらってもいいですか?」
「毎日のように連絡を寄越していたのが、最近ぱったりと連絡が途絶えたから心配みたいだ。一生懸命頑張ったんだ。ねえさん頼んで悪いが、写真を撮って地竜にメールを送信して欲しいんだ」
譲治さんのあとを伊澤さんが追いかけてきた。
「分かりました。すぐに送ります。伊澤さん、三春に行かなかったんですか?」
「会う人みんなに驚かれて、同じことを聞かれる。参ったな。根岸とおちおち喧嘩も出来ないな」
「喧嘩するほど仲がいいっていいますし、伊澤さんと根岸さんは二人で一人ですから」
譲治さんが書いた手紙を携帯で撮影して、地竜さんのメールアドレス宛てに送信した。
「譲治、佐治が呼んでいたぞ」
「本当ですか?」
「あぁ、玄関に行ってみろ」
「はい、分かりました。玄関に行きます」
譲治さんがバタバタと走っていった。
あたりをキョロキョロと見回す伊澤さん。
炒めものを作っている何気に橘さんと何気に目があった。
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