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番外編 おかえり

「ただいま」 一太たちが帰ってきたのはそれから三十分後のことだった。 「光希、今日はありがとうな」 「ありがとうは俺のほうだよ。最高の一日になった。昼御飯を食べたのが遅かったからあまりお腹が空いていないかも知れない」 「そうか」 「チカと国井は新幹線の指定席を予約していたみたいで駅にまっすぐ向かった。またすぐに帰ってくるって話しをしていた」 「新幹線代、二人に渡してくれたか?」 「いらないって固持されたけど、遥琉の気持ちだって伝えたらもらうんじゃなくて、借りておくって言ってた」 「そうか、国井らしいな」 彼が微かに笑った。 「パパ、しょうにゅうどうに行ってきたよ。楽しかったよ」 一太がにこにこの笑顔で走ってきた。 「そうか、鍾乳洞まで行ったのか。混んでいただろう?」 「うん。すごかった。あとね、山のてっぺんにアンテナが立ってよ」 「そうか、それはな」 彼がしゃがんで分かりやすく説明してくれた。 「暑いからみんな考えていることは一緒なんだね。駐車場に入るまで三十分以上かかった。ちょうどお昼を食べたあとだったから奏音も一太もめぐみも優輝も寝ててくれたから助かった」 「そうか。ちょっとした遠足気分を味わえて良かったな」 「うん、思い出ができた。おみやげも買ってきたよ。また行きたい」 「陽葵がもうちょっと大きくなったらみんなで行こうな」 「やった!」 一太は小さくガッツポーズをすると嬉しそうに目を輝かせた。

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