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番外編 おかえり
「那和も来れば良かったのに。すごく楽しかったんだから」
「暗いからパス。亜優は?大丈夫だった?」
「それがね、涙目でずっと玲士にしがみついていた」
「幸運《ラッキー》だったじゃん」
「玲士にとってはね。暗いところと狭いところとお化けが苦手な亜優にとってはかなりの試練だったかも」
「でもねいつかは乗り越えないと。心を強く、鬼にしてさ。そこは」
「そうだよね」
紗智さんと亜優さんがそんな会話をしていたら亜優さんがひょっこりと姿を現した。
「亜優もお茶にしよう」
紗智さんが手招きすると嬉しそうに笑んで二人のもとに駆け寄ってきた。
「日本では屋台のことをキッチンカーっていうのかな?よく分からないけど、焼きたてメロンパンに、トルネードポテトに、クレープに、アイスクリームに、とにかくいろんな食べ物やさんがあって、お昼を食べたばかりなのに不思議と食べれた。別腹って本当だね」
「だからメロンパンがお土産なんだね」
「青空は一個じゃ足りないから三個渡した」
「三個でも足りなくない?」
「一太たちも青空さんにメロンパンを買ってきたから」
「そっか。考えていることは一緒だね」
紗智さんと那和さんが目を合わせるなりクスクスと笑った。
「やっと見付けた。紗智、悪いがたいくんを頼む
那和、悪いがここちゃんを頼む」
鞠家さんと甲崎さんが姿を見せた。
鞠家さんが太惺を、甲崎さんが心望をそれぞれ抱っこしていた。
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