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番外編 おかえり
「これから会合で、行こうとしたらたいくんが走ってきて、足にしがみついて離れてくれなくて」
「俺の場合はここちゃん。人見知りせず懐いてくれて、ものすごく嬉しいんだが、俺も話しに混ぜてもらうことになってな」
「そうだったんだ。おいでたいくん」
手を広げた紗智さんに太惺を渡す鞠家さん。
「ここちゃんおいで」
那和さんに心望を渡す甲崎さん。
ぶすくれてこれでもかと下唇を伸ばす二人に、
「ごめんな、一日中留守にしてて。明日の夜にいっぱい遊ぼうな」
鞠家さんと甲崎さんが二人の頭を代わり番こに撫でてくれた。
「鞠家は損な役回りばかりさせられていた。次は俺の番なのかもな」
「オヤジが歓迎するって言ってたぞ」
「兄弟揃って世話になるのな」
「そのときは縣一家に世話になったらいい。裕貴も歓迎してくれる」
「それもそうだな」
二人は同期。警察学校に入学し、苦楽を共にし、切磋琢磨してきた。気心も知れている仲だ。だから自然と話しも弾む。久し振りに会ったからなおさらだ。
殺人教唆罪の公訴時効は撤廃されている。青空と母親が失踪したのは2010年4月27日の法改正前だが、公訴時効が完成していない事件にあたるから時効撤廃が適用される。福光さんを殺人教唆罪で逮捕させてくれと上司に掛け合った。
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