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番外編 ありがとうな、

「なんだこれは」 「礼とあなたの秘書にはあらかじめこれと同じものを速達で送っておいたんですが。まだ届いてないですか?」 「さぁな、知らん」 「こっちには郵便物等配達証明書がある。都合の悪いことには蓋をする。相変わらずですね」 「用件はなんだ?金か?いくら欲しいんだ?」 「口止め料として3億……と言いたいところだが、俺も卯月さんもそれを望んでいない。己が二十数年前犯した罪を認め、秦青空と、母親の寺嶋いとに心から謝罪することだ」 「ぶざけんな。偽造だろう、どうせ。そんな女、知らん。それに秦青空って誰だ?ヤクザに知り合いはいない」 「へぇ~~そうですか。それ、はじめて聞きました。でもおかしいですね。ヤクザに知り合いはいないはずなのになんで分かったんですか、青空がヤクザだってこと」 「……」 福光さんはなにも答えなかった。 「お得意の黙りですか。ここにいる青空はあなたの息子ですよ。そして俺とみずほの弟ですよ」 青空さんが一歩前に出た。 ふんっとそっぽを向く福光さん。 母親似の青空さんを見ても、封筒のなかに入っていた親子関係の鑑定結果を見ても、それでも知らぬ存ぜぬ、シラを切る福光さん。 そのときテレビがぱっとついた。 吉崎さんが事務所のスタッフの方に五分過ぎたらテレビをつけるように頼んでおいたのだ。蜂谷さんがリモコンを操作し、画面いっぱいに写し出されたのはいとさん、その人だったから福光さんが思わず、 「嘘だろ……死んだはずでは……」 そう漏らし顔面蒼白になった。

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