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番外編 ありがとうな、

「みずほさんもしかして一時帰国するんですか?」 「来月の末、一週間くらい日本に滞在するそうだ」 「いままでは他人同士だったけど、今度こそ姉弟として会えるんですね。よかった」 「女の勘は鋭いとよくいうが、みずほは父親が家族に何かを隠していることも、嘘をついていることも薄々気付いていたようだ。だから出国する前に乙幡さんに会いに行った。そして乙幡さんにこう言ったんじゃないか。何かあれば鷲崎組と菱沼組を頼れ。組長の鷲崎と卯月は警察よりも信用できる男だ」 「だから大切なあの手帳を遥琉さんに託したんですね。あとは山梨さんが見付かればおのずと真相は見えてきますよね?」 「サツが血眼になって探しているが神隠しにでもあったかのように手がかりが何一つ見付からない」 そのとき鞠家さんの携帯の着信音が鳴った。 「噂をすれば影。オヤジからです」 鞠家さんが携帯を耳にあてた。 ふと背後に人の気配を感じて七海さんと一緒に振り返ると、 「嘘……」 予想もしていなかった人が立っていたから心臓が止まるんじゃないか、そのくらい驚いた。 「し――」 悪戯っぽい笑みを浮かべて唇に人差し指を立てたのはあおお兄ちゃん、その人だった。七海さんも驚きすぎてあっぱぐちを開けていた。 鞠家さんを驚かせる気満々で、抜き足差し足でそぉ―っと鞠家さんの背後に近付くあおお兄ちゃん。 「カシラ」 ツンツンと指で肩を叩くと、 「うわぁ――!」 あおお兄ちゃんの思惑通り飛び上がるくらいに驚く鞠家さん。 「びっくりした。なんでいるんだよ」 「遥琉が帰ってくるまでの代役に決まってるだろう。カシラ、そういう訳だ。仲良くしような」 満足したように満面の笑みを浮かべ鞠家さんの肩に手を置くあおお兄ちゃん。

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