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番外編 ありがとうな、
「たんさん!」
「いたらへんじしてください!」
「子どもたちが呼んでるな」
「お土産を渡したいって話しをしていたから、名前を呼んだら返事をするから試しに呼んでみろって若い衆に言われたのかも知れない」
「なるほどな。かくれんぼうは得意中の得意だぞ」
「あのね覃、無視して返事をしなかったら子どもたちに臍を曲げられるよ。誰にも構ってもらえなくなるよ。名前を呼んでもらえるうちが花だよ」
「それは死活問題だ」
「分かっているなら返事をする」
「了解した。食べてからでいいか?」
「あのね覃」
「ん?なんだ?」
「なんでもない」
話しが噛み合わず、とんちんかんなやりとりをする二人。覃さんは天然なのか、それとも七海さんに構ってほしくてわざとそうしているのか、いまいちよく分からない。そんなとき太惺がひょっこりと顔を出した。
「おぅ、たいくん。久し振りだな。見ないうちに大きくなったな」
「あ~~!」
覃さんを指指して大きな声を出す太惺。
「可愛い通報部隊に見付かったんだ。観念して捕まってやるか」
最後の一口を口に運ぶと、麦茶を一気に飲み干し、両手を合わせて「非常好吃《フェイ チャン ハオ チー》」(とてもおいしかった)と口にする覃さん。
「てっきり俺は会うのが久し振りで、顔を忘れて泣かれると思っていたぞ」
太惺に抱っこをせがまれ、口ではしょうがねぇなと言いながらも、嬉しそうに太惺を抱き上げて膝の上に乗せてくれた。
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