3679 / 4016
番外編ありがとうな、
背伸びをして手を伸ばしたけど、指先があと数ミリ届かない。
「危なくて見てられない。しょうがない、助けてやるか」
覃さんが椅子から立ち上がろうとしたら、ウ―さんが颯爽と現れてアルバムが入った箱を取ってくれた。
「タン、クサシ」
「俺はクサシじゃねぇぞ。こう見えても疲れているんだよ」
日本語のあとに中国語でウ―さんに話しかける覃さん。
「斉木の福島弁がウ―に移ったか。なんでまた変な言葉ばかり先に覚えるかな。参ったな」
はぁ~~とため息をつく覃さん。
「似た者夫婦、夫婦は似る、という言葉を検索してみたら?」
「七海、難しいことを言うな。日本語はさっぱり分からんぞ」
「じゃあ、僕たちと一緒に勉強する?。青空さんも日本語が上手になったんだよ」
一太が覃さんに話し掛けた。
「ぴよぴよの若葉マ―クだぞ」
「はじめから分かる人はいない、勉強するのに遅い早いはないってパパ、よく言ってるよ」
「なるほどな。そのときは一太が俺の先生になってくれ。子どもたちといると荒んだ心が癒される。まさに至福のひとときだな。一太、優輝、めぐみありがとうな」
覃さんの目が潤んでいた。それに気付いたウ―さんが、もしかして泣いてるのか?鬼の目にも涙か、そんなことを言っていたかは定かではないけど、愉しそうにからかっていた。
ともだちにシェアしよう!

