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番外編ありがとうな、
「誰かと思ったら俺になり損ねた蒼生か」
「覃、もしかして喧嘩を売っているのか?」
「な訳ねぇだろ。勝てぬ戦ははじめからしない主義だ。平和主義だ」
「とかなんとか言って瞬間湯沸かし器だろ」
「それは昔々、大昔の話しだ」
ジロジロとあおおにいちゃんの体を見回す覃さん。
「未知はよく分かったな」
ペタペタと浴衣の上からあおお兄ちゃんの体を触りはじめた。
「ひょろひょろのやせっぽちかと思ったが胸板が思ったより厚いな。へぇ~~意外だ」
「ただでさえ強いカミさんを守らないといけないからな、少しは鍛えないと駄目だろう。カミさんに恥をかかせる訳にはいかないだろう」
「か弱いフリだからな、千里の場合はな」
クククと笑う覃さん。
「そう言えば覃、ひとつ聞きたいことがあったんだ」
「俺にか?」
「あぁ、何を調べていたんだ?わざわざ地下に潜ってまで」
「なんだもう知っているのか。決まってるだろ、宝探しだ」
しれっとして答える覃さん。然り気無くあおお兄ちゃんのお尻を撫でた。
「相変わらず撫で心地最高の尻だな」
「て、てめぇ~~!」
振り返ったその一瞬を見逃さず今度は股間をむんずと掴んだ。
「アテテ」と悶絶しその場にうずくまるあおお兄ちゃん。
「隙だらけだ。少しは用心しろ」
「用心しろって、あのな覃。あとで覚えておけよ」
「断る」
あおお兄ちゃんと覃さんは今日も仲良しこよしだ。喧嘩をしててもすごく楽しそうだ。
一太と優輝くんはあっぱぐちを開けて呆気に取られていた。めぐみちゃんは「もうやだ。これだから男子は」と顔を真っ赤にして手で覆っていた。
「覃さん、蒼生さん、子どもたちの前でイチャイチャしないで頂けますか?仲がいいのは分かりますからこれ見よがしに見せつけないで頂けますか?」
橘さんが戻ってきた。
「七海さんは一太くんたちを、未知さんはめぐみちゃんを安全な場所に連れていってください。私はお二人に話しがありますから」
「俺はないぞ」
「俺もだ」
「私があるんです。そこに座ってください」
橘さんを怒らせたら怖い。それを身をもって知っている二人は素直に従った。
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