3681 / 4016
番外編ありがとうな、
「九鬼総業の元組員が面白いものを持っていたそうですよ」
組員山梨を今回、絶縁処分にした、今後、この者と商談するな、交際するな、拾うなと書かれた回状のコピーをテ―ブルの上に置く橘さん。
「いとさんの元交際相手の名前も山梨です。偶然にしては出来すぎているとは思いませんか?」
「写真はないのか?」
「ありません。この回状自体本物なのか偽物なのかも分かりません」
「森崎は何て?」
「山梨という名字が珍しいですから記憶に残るはずだと」
「まずはこれが本物なのか偽物なのかだな。仮に本物だとしても偽名を使っているかも知れないからな。調べてみる」
あおお兄ちゃんは同業者に顔がきく。
「俺も心当たりをいろいろ聞いてる」
覃さんは裏社会の事情通だ。
「宜しくお願いしますね」
ニッコリと微笑む橘さんを見た覃さんが、
「いま、分かった」
ボソリと呟いた。
「ボスがな、橘は猛獣珍獣の類いを手の上で転がし、手懐けるウサギだ、そう言っていた意味がな」
「それ、私でなく未知さんのほうが適任者では?」
「ほぉ~~珍しいな、怒らないぞ」
「いちいち怒るのに疲れただけです」
橘さんが苦笑いを浮かべて答えた。
「千里はこの事を知っているのか?」
「遥琉から伝えてもらいました」
「そうか、それなら良かった」
胸を撫で下ろすあおお兄ちゃん。
ともだちにシェアしよう!

