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番外編 ありがとうな、

「我慢するのは体に悪いぞ。譲治に会ってこい。今ならめんげえ寝顔にいっきゃえるぞ」 「マジか。分かった。ハニーに会ってくる」 覃さんの顔が綻び、すぐに仏間に飛んでいってしまった。 「柚原さん、覃さんの変態スイッチをオンにしてどうするんですか?今日一日くらいは真面目な覃さんの姿を見れると思ったのですが。困った人ですね」 やれやれとため息をつく橘さん。 あおお兄ちゃんもこれには苦笑いを浮かべていた。 颯爽と肩にジャケットを担ぐあおお兄ちゃん。 「出掛けるんですか?」 「あぁ。鞠家と一緒に阪井に会ってくる。組長と若頭が俺に挨拶したいとわざわざ出向いてくれたからな。ついでに白雪美容室を見てくる」 鍵を掲げるあおお兄ちゃん。 義夫さんたちが亡くなったあと美容室はそのままになっている。弓削さんが相続人になるみたいで、帰ってくるまで久弥さんが鍵を管理している。 「昨日、白雪美容室に泥棒が入ったと久弥に聞いた。しっちゃかめっちゃか、足の踏み場もないくらい荒らされたらしい。よほど大事なものがあったんだろう」 「あおお兄ちゃん、くれぐれも気を付けてください。吉柳組のカドタさんたちが市内にまだいるみたいなので」 「よそのシマで幅を利かせていると聞いた。阪井も言っていたな、傍若無人ぶりが目に余ると。イキがっているのも今のうちだ。そのうち泣きを見る」 ニヤリと笑うと、鞠家、行くぞ。と鞠家さんに声を掛け、屈強な黒服の弾よけを三人引き連れて出掛けていった。 「未知さん、顔色が悪いですよ。何か心配事でも?」 「胃のあたりが急に痛くなって……ついさっきまではなんともなかったんですが……」 お腹を押さえると、 「未知さんの嫌な予感はよく当たりますからね」 橘さんが体を支えてくれて。座布団に座らせてくれた。 「七海さん、柚原さんに蒼生さんたちのあとを追うように頼んでいただけますか?」 「分かった。森崎も一緒に向かわせる」 七海さんが二人を呼びに行った。

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