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番外編ありがとうな、
「玲士さんからだ、なんだろう」
携帯を見ると、鞠家さんから用事を言いつけられて出掛けていた玲士さんからだった。
「白雪美容室に入るまでが一苦労みたいですよ。不法に投棄されたゴミや、割れたガラスが階段や通路に散乱していて足の踏み場もないくらいみたいです。玲士さんには若い衆と一緒にそれを片付けに行ってもらってました。蒼生さんに怪我などさせたら一大事ですからね。玲士さんと若い衆たちがコミュニケーションをとりあい、一日でも早く馴染めるようにと鞠家さんなりの配慮です」
「そうだったんですね」
「いまだに若い衆たちは玲士さんに対して、腫れ物にさわるような感じで接していますからね。他人行儀で余所余所しいのを遥琉が気にしていました。玲士さんにも気負わせたくないのもあったのでしょうね」
「これを機に仲良くなればいいですね。僕は見守ることしか出来ないけど、幹部の皆さんと、若い衆たちと、玲士さん。お互いに尊敬しあい、そして支えあう、そんな関係になればいいですよね」
「そうですね。菱沼組のいいところはよその組とは違い、年齢が近いせいかフレンドリーなところですからね。玲士さん何て言ってますか?」
橘さんに聞かれてメ―ルを見せた。なんともいえない異臭。ゴミが燃えたあとがある。不審火の可能性あり。警察に通報した。そう文章が綴ってあった。
「日本もぶっそうな世の中になったな。全部灰にしてしてしまえば真実は永遠に闇のなかだ」
ここには僕と橘さんしかいないはずなのに覃さんの声が後ろから聞こえて来てきたから驚いた。
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