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番外編ありがとうな、
夕方になり少し涼しくなるのを待って陽葵を抱っこして庭を散歩していたら、
「ママ、みて!」
「ママ、あれ!」
太惺と心望が同時に空を指差した。
「あれは自衛隊のヘリコプターだよ。市内に駐屯地があるから飛行訓練でもしているのかな」
パタパタ、バタバタというプロペラの大きな音に驚いたのか耳を手でふさぎながら、北の方角へと飛んで行くヘリコプターの編隊を見上げる二人。
陽葵もお手手を握り締め、じっと空を凝視していた。
「ただいまねえさん」
はじめは空耳じゃないか、そう思った。
いとさんのところにいるはずの青空さんがこんなに早く帰ってくる訳ないもの。
「たいくん、ここちゃん、ひまちゃんただいま」
もう一度声が聞こえてきて、
「あ~~!」
太惺と心望の表情がたちまち笑顔になった。驚いて青空さんの顔を二度、三度と見たら、
「いや、参った。会ってすぐに怒られるとはな」
バツが悪そうに苦笑いを浮かべていた。
「仕事をほっぽってうすらかすらしているんじゃない、ねえさんの側にいなくてどうするの、ねえさんを守るのがあなたの仕事でしょう。いとさんに怒られて追い返された。寺嶋夫妻と親戚がいるから自分は大丈夫だと。でも心配なので若いのを一人連絡係として置いてきた。いとさんは泣いていた。夢にまで見た生き別れた息子とやっと会えて、本当は青空に側にいてもらいたかったんだろうが、息子に余計な心配をかけたくないと。それにこんなにガリガリに痩せ細った姿を見せたくないと。出来ることなら元気な姿を見せたかったと」
蜂谷さんが姿を見せた。
「ねえさん、いとさんから手紙を預かってきました。あとで渡します」
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