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番外編ありがとうな、
「夜間飛行は禁止だ。日の出から日の入りまでと決まっている。それがどうした?」
「ドローンが飛んでいってまた戻ってきたと、若い連中が騒いでいた」
「警備体制を確認するための偵察だろう」
「目障りなハエは落としてもいいか?」
「構わん。好きにしろ」
「了解した」
覃さんの嬉しそうな声が返ってきた。
「本当に撃ち落とすつもり?冗談抜きで?」
「あぁ、そうだ。危険な芽はちいさいうちに摘んでおかないとな」
七海さんの問い掛けに、地竜さんは不適な笑みを浮かべて余裕綽々と答えた。
「はじめて地竜さんが怖いと感じた。そうだよね、地竜さんは優先生でなく、死神のボスだったよね。すっかり頭から消えていた」
七海さんがポツリと呟いた。
「地竜さんも覃さんもこの状況を楽しんでいるとしか思えない」
「そうか?」
にやりと笑う地竜さん。
「たいくん、花火があがるぞ。祭りのはじまりだ」
「ぜんぜん嬉しくない祭りだけどね」
「そう言うな七海」
「てか、撃ち落とすと言った割にはぜんぜん音が聞こえないけど」
「覃が持っている銃にはちょっとした仕掛けがしてある」
「そんな物騒なモノを持っているならおちおち歩けないよ」
「まだ可愛いほうだ。黒竜のメンバーは自爆ベルトを腰に巻き、自決するための手榴弾を隠し持っている」
「あの、地竜さん、この爆発はガス爆発じゃなくてもしかして……」
紫竜の底知れぬ恐ろしさは、会ったことがあるからこそ分かる。冷酷無比、人を人とも思わない。使い捨ての駒にしか考えていない。
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