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番外編ありがとうな、
「紗智、なんで余計なことを言ったんだ」
「だってバ―バが自分の気持ちには正直に。言葉は言わないと伝わらないって。だから俺……」
「卯月のありがたい格言はためになるからな。親の言いつけをちゃんと守ってえらいぞ」
「ボスはどっちの味方なんだ」
「どっちもだ。そんなの分かりきっていることだろ?」
「未知、薄情でろくでもないこんな男といますぐ別れたほうがいいぞ」
仲良く口喧嘩をまたはじめる二人。
「ちょっとそこの二人。マーは関係なんだから火を飛ばさないでよ」
那和さんが缶ビールを飲みながら姿を現した。
「橘がね、譲治が怖がって泣いているからすぐ来てって。さっき一瞬だけ停電したでしょ?」
「そうか、分かった。すぐ行く」
覃さんがすっと立ち上がって仏間へと走っていった。
「なんて嘘」
舌をペロリと出す那和さん。
「泣いていたのは事実だけどね」
「助かったよ」
「二人を見ていると子ども同士で喧嘩しているみたいだね。じゃれあってなんだか愉しそう」
那和さんがくすりと笑った。
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