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番外編ありがとうな、

「ボス、捕まえるのは未知じゃなく太惺だろ?」 「未知でいいんだ。少しだけでいい。癒しをチャージさせてくれ」 「デ、地竜さん」 動揺して声が裏返った。 「優って呼んで。本当の名前で呼んでもらったほうが今はすごく嬉しい」 耳を擽る低音ボイスにドキッとした。 あれ?悪戯をしてこない。いつもならあちこち触りまくるのに。それにやけに静かだ。そっと後ろを見ると地竜さんは立ったまま目蓋を閉じてすやすやと寝ていた。顔には疲れの色が滲み出ていた。髭も剃る暇もないくらい疲労困憊だったのだろう。 「寝るのは構わないけど、下着くらいは身に付けて欲しかったのに」 「残念。今となっては手遅れだ」 「覃さん使って申し訳ないのですが、橘さんか柚原さんを呼んできてもらってもいいですか?」 「重いか。きみに対するボスの愛も重いぞ」 「それはよく分かっています」 「なんだ分かっていたのか、良かった」 覃さんが愉しそうに笑いながら着替えをしていると、 「覃さん、あなたのボスでしょう。最後まで面倒をみて下さい。未知さんに丸投げしないで下さい」 ドア越しに橘さんの声が聞こえてきた。 「しょうがねぇな。邪魔するぞ」 がらっと開いて青空さんが入ってきた。 「たいくんより手がかかる。めんどくさくて困った男だ」 僕から地竜さんの体を半ば無理矢理引き離すと、軽々と横に抱っこした。 「覃、タオル」 「なんで?」 「客人に見せてもいいのか?」 覃さんが渋々ながら地竜さんの下腹部にタオルを掛けてくれた。

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