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番外編ありがとうな、
「おかえり。長旅で疲れているんだ、無理するな」
「ただ座って寝ていただけだ。こんなの疲れたうちに入らない」
太惺と心望が不思議そうに首を傾げた。それもそうだ、声は宋さんなのに顔が青空さんなのだから。二人が混乱するのも無理がない。
「顔が青空のままだったな。すっかり忘れていた」
慎重派の太惺とは違い、怖いもの知らずの心望。後ろ向きになり畳の上にゆっくりと下りると、とことこと宋さんのところに駆け寄った。そして爪先立ちなるとツンツンと指先で頬に触れた。思ったよりも冷たかったのか一瞬泣きそうな顔を見せたけど、なぜかきゃきゃと笑い出した。
「何がそんなに面白いんだ?」
つられて宋さんも笑い出した。
「暑いからな。冷たくてぷにゅぷにゅの感触が気持ちよかった?いや、気持ち悪かった?それとも顔か?ここちゃんの笑いの壺がどこにあるかさっぱり分からん。永遠のなぞがまたひとつ増えたな」
ひょいと心望を片腕で軽々と抱き上げた。
「ここちゃんと会わないうちにまた大きくなったな。目のあたりとかママにそっくりだ。子供の成長は早いな」
しみじみと感慨深く言うと笑顔で頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「たいくん、気が変わってからでいいからおいで」
そう言い残し心望と一緒にお兄ちゃんたちとお姉ちゃんたちを探しに向かった。
「たいくんは行かないのか?それじゃあおじちゃんが起きるまでぱぱたんと一緒にいようか。ちょうどそこに絵本が落ちているし」
片手を伸ばして絵本を拾うと、太惺と一緒に読みはじめた。数分後、指しゃぶりをはじめる太惺。眠たそうに目を擦りながらとうとうとと船を漕ぎはじめた。
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