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番外編ありがとうな、

「寝ててもいいぞ」 柚原さんが絵本を閉じて太惺を抱き直すとものの数秒ですとんと寝てしまった。 「ぱぱたんの声が心地よくて眠りを誘うんだろうな」 ふぁ~~あと大きな欠伸をする地竜さん。 「やっぱり起きていたのか。狸寝入りはやめろ」 「今起きたところだ。これから二度寝をするがな」 体を横向きにする地竜さん。 「寝せていいぞ」 空いた場所をぽんぽんと軽く叩いた。 「悪いな」 「みんな忙しいんだ。俺に手伝えることは手伝う。気にすんな」 柚原さんが太惺を地竜さんの隣にそっと寝せた。 「柚原、おまえ一応は幹部だろ?顔だけ出してこい。それと弓削に会ってこい。若い衆に示しがつかないだろう」 「地竜ありがとう」柚原さんか軽く会釈し大広間へと向かった。 「弓削さんお帰りなさい!」 子供たちの熱烈大歓迎を受けた弓削さん。目を丸くして驚いていた。 「こっちも夏休みに入ったんだな」 「うん。そうだよ。ゆげさん、なんでおうちの中に入らないの?」 「みんな待ってるよ」 到着して三十分は過ぎているのに玄関の前に突っ立ったまま家の中に入ろうとしない弓削さんに痺れを切らした一太と優輝くんがサンダルを履いて迎えに行った。弓削さんの腕にぎゅっと抱きつくと、そのままぐいぐいと引っ張って家の中に入った。 「一太、ママは?」 「いるよ、あっち」 台所のほうを指差す一太。

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