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番外編 ありがとうな、

「相変わらず兄貴はモテますね」 「モテるなら未知だけでいい。でもそういう訳にもいかないからな。でもな愛が重いんだよ、蒼生も信孝も地竜も。平等に接しないとのちのち面倒だし。あやまった」 彼が大きなため息をついた。 鞠家さんがそんな彼を見て苦笑いを浮かべていた。 挨拶するよりも前にお兄ちゃんとりょうお兄ちゃんと龍成さんに抱き付かれいじくりこんにゃくされた彼。それを聞いて信孝さんは嫉妬の炎をメラメラと燃やしていたみたいだった。 焼きもちを妬かなくても信孝さんにはナオさんかいるのにな。それなのになんで焼きもちを妬くのかな。本当に信孝さんって面白い。ひととなりを知れば知るほど不思議な人だ。 台所に入るなりお帰りなさいの元気な声とパンパンとクラッカーの音が鳴った。 「たまげたごと」 「作戦成功だねハルちゃん」 「うん。やった~~!」 めぐみちゃんと遥香がにっこり笑ってハイタッチをした。 「弓削さんお帰りなさい。子どもたちが弓削さんを思いっきり驚かせようっていう話しになって、出迎えないといけないのにここにいました。ごめんなさい」 深々と頭を下げた。 ねえさんは謝ることねぇ。だから頭を上げてくんちょ。オヤジに怒られる」 弓削さんの慌てっぷりは相変わらずで。聞き馴染みのある福島の方言を聞いているだけで不思議と安心できた。弓削さんがやっと帰ってきてくれた。ようやくそれを実感することが出来て、感極まって泣きそうになった。

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