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番外編ねえさん、ただいま
弓削さんは俺の兄貴です。気安く近寄んな!と言わんばかりに地竜さんを牽制するヤスさん。
「そうキャンキャン吠えるな。誰もお前の兄貴を取らないよ」
地竜さんが困ったように苦笑いを浮かべた。
「ヤスは久弥には不思議と焼きもちを妬かないよな。弟だもんな、そりゃあ、そうか」
ヤスさんがバツが悪そうにしばらく黙り込んでいた。
「ヤスはオヤジに注意されたんだよ。四季に接しているみたいに久弥にも優しくしてやれって。平等に接しろって。な、そうだろう?」
「カシラ余計なことは言わないでください」
「余計なことじゃないだろ」
「十分余計なことです」
「ヤス、止めろ」
弓削さんがヤスさんの肩に手をそっと置いた。
「カシラにそんな口をきいたら駄目だろ?佐治も真似をするようになる。ヤス、焼きもちを妬くほど俺を大事に想ってくれてありがとうな。ヤスみたいな子分がいてくれて俺は嬉しいよ」
弓削さんの言葉にヤスさんの頬がかすかに赤くなった。二人の会話を黙って聞いていた鞠家さんと地竜さんが、
「自ら地雷を踏んでどうすんだ」
「弓削は相変わらず鈍いな」
苦笑しながらボソリと呟いた。
「地雷?鈍い?なんのことだ?」
きょとんとする弓削さん。
「兄ちゃんって本当に自分のことが分かってないよね」
久弥さんがくすくす笑いながら帰って来た。森崎さんも一緒だ。
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