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番外編ねえさん、ただいま

「あ、あの……」 「どうした?」 彼が目を開けた。 「そろそろ起きてもいいですか?」 「俺じゃなく、後ろのソイツに言え」 「その台詞、そっくりお前に返す」 「だからもう朝から喧嘩はだめです」 この二人になにを言っても無駄かもしれない。諦めかけたとき、 「未知、お兄ちゃんが助けにきたよ」 がらっと戸が開いてあおお兄ちゃんが爽やかなスマイルとともに颯爽と姿を現したから驚いた。 「あ、手を握ってる」 ボソリと呟くとみるみるうちに眉間に皺が寄っていった。 「誰がコイツとなんか手を握るわけ……」 彼がようやく気付いた。 「それ俺の手。未知の手は胸の前で手を組んでいないか?」 「あ、本当だ。未知と同じでがさがさだったから間違えた。悪いな」 慌てて握っていた手を離す彼。 「普通は間違えないよ。でも卯月の手って大きいよな。温かくて包容力のある手だ。ずっと握っていたい手だ」 「そうか?照れるじゃねぇか」 遥琉さん、地竜さん、あおお兄ちゃんの顔を見て。今にもぶちギレそうだよ。なんでそのことに気付かないの?そのへんでやめた方がいいのに。 ハラハラドキドキして生きた心地がしなかった。

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