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番外編ねえさん、ただいま
「毎度お馴染みの焼きもち合戦か」
橘さんから話しを聞いて柚原さんがくすりと笑った。
「笑い事ではありませんよ」
「弓削もヤスと佐治がしがみついて離れなくて散歩に行くのも一苦労していた。弓削を慕う舎弟は多いからな。ヤスも佐治も焼きもちを妬ききれないだろう」
「未知さんの弾よけにならなかったら今ごろ若頭になっていたのに……」
「アイツは出世には興味がない。ねえさんしか目に入っていない」
「それは柚原さん、あなたもでしょう?」
「俺?」
「えぇ」
「幹部になれば色々とめんどくさいだろう?オヤジみたいに人を上手に使うことが俺には出来ない。もともと俺は孤高の一匹狼だったんだ。そんなヤツに組を任せてみろ、一貫の終わりだ」
「なにが一貫の終わりだ。どの口が言ってんだか。福島に来たばかりの元マル暴の刑事で余所者の俺に丸投げした癖に。橘、何か食べさせてもらっていいか?朝御飯を食べ損ねた」
「分かりました。少し待ってくださいね」
橘さんが冷蔵庫を開けた。
「朝茶は旨いぞ。コ―ヒ―のほうがいいか?」
「朝茶でいいよ」
柚原さんがポットのお湯を急須にいれ、湯飲み茶碗に注ぎ鞠家さんの前に置いた。
「吉柳組と揉めたか?」
「やっぱり柚原には隠し事は出来ないな」
鞠家さんが自嘲気味に笑った。
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