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番外編ねえさん、ただいま
「白雪美容室の周辺をパトロールしていたミツオたち若い衆たちがなかなか帰ってこなくてな。探しに行こうと思ったら過足が軽トラの荷台にミツオたちを乗せて帰ってきたんだ。顔が腫れあがっていたからなにがあったんだと聞いたら立ち入り禁止になっている白雪美容室に侵入していた吉柳組の若いのを注意したら、隣のビルから駆け付けた男たちに抵抗する間もなく一方的にボコボコに殴られたそうだ。狭い路地に逃げ込んだときたまたま偶然朝市帰りの過足が前を通り掛かって荷台に乗せてくれた。過足がいなかったら今ごろどうなっていたか分からない。オヤジに報告するために来たんだ。吉柳組も神政会も気性が荒く血の気が多い連中ばかりで困る」
そんな話しをしながらふぅふぅとお茶を冷ましながらゆっくりと飲む鞠家さん。
「そういえば玄関に過足から預かった野菜を置きっぱなしだった。持ってこようと思っていたのに若いのと喋っていたからすっかり忘れた」
「そのうち気付いた誰かが持ってくる。しおも一緒だったか聞いたか?」
「だぶだぶの長靴を履いて緑色のツナギを着て日に焼けて真っ黒になっていたらしい。一瞬誰だか分からなかったとミツオが話していた」
「逃げ出さずによく頑張ってるんだな」
「過足の祖父母がよくしてれるから居心地がいいみたいだ。飯も旨くて、幸せ太りであっという間に五キロ体重が増えたって。表情はまだまだ固いが元気そうだった」
「そうか、それなら良かった」
柚原さんかほっとして胸を撫で下ろした。
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