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番外編ねえさん、ただいま
「ずいぶんとまぁ元気なヤロウだ」
弓削さんがようやく手を離した。
「ふざけんな!お前のせいで俺の家族はバラバラになったんだぞ」
「なんのことだ?」
「惚けるな!」
怒りで顔を真っ赤にしいきり立つしおさん。
「キャンキャンうるせーーガキだ。近所迷惑になるのが分からないのか?」
門扉が開いて佐治さんが迷惑顔で姿を現した。
「オヤジの温情でお咎めなしになったんだろ?そうじゃなかったら今ごろ海の藻屑と消えていたんだぞ」
「佐治の言う通りだ。兄貴はそんなことは絶対にしない。湯山と一緒にするな」
尊敬してやまない弓削さんを悪く言われ黙っているヤスさんではない。鋭い眼差しでしおさんをじろりと睨み付けた。
「兄貴が違うって言ってんだろ?俺は何があっても兄貴を信じる」
「俺も兄貴を信じる」
ヤスさんと佐治さんがきっぱりと言い切ると、さっきまであれほど騒いでいたしおさんが急に大人しくなった。
「都合が悪くなったらお決まりのだんまりか」
「ヤス、佐治、そのくらいで許してやれ。おぃ、しお。過足に土下座をさせる気か?」
弓削さんがその場に座り込んだ過足さんの腕を引っ張って起こそうとしたけどびくとも動かなかった。
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