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番外編ねえさん、ただいま

「責任は俺にある。好きに殴れ」 過足さんはアスファルトに額を擦りつけて頭を下げ続けた。 「過足、俺らは関東竜城会とは違う。なにもそこまでする必要はない」 ヤスさんも駆け寄り弓削さんと一緒に過足さんの体を起こした。額からは血が滲み出ていた。 そこまでして自分の代わりに謝ってくれた過足さんをしおさんは冷めた目で見ていた。馬鹿じゃねぇの。自分は関係ない。さもそう言いたげだった。 「あのな」 「佐治、怒るだけ無駄だ」 今にもしおさんに飛び掛かりそうな佐治さんを弓削さんが止めた。 「まるで他人事のような冷めた目を見たら思い出した。あの事件の関係者か……なるほどな」 「弓削さん、しおのことを知ってんのか?」 過足さんが驚いたような表情を見せた。 「いまだに犯人が捕まらず懸賞金も500万円になった殺人事件がある。俺もすっかり忘れていたんだが十日前にテレビでその事件を再現したのが放送されていてそれを見たら思い出した。関東のテレビ局だ。あとで携帯で調べてみろ」 「やっぱりお前が犯人かよ!ふざけやがって!」 しおさんが目をつり上げて怒鳴り散らした。その声に警備をしていた舎弟たちや、周辺の道路のごみ拾いをしていた若い衆たちが次から次に集まってきた。

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