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番外編ねえさん、ただいま

「白雪美容室に一人で行けないからヤス悪いが付き合ってくれって言ってみたらどうだ?なんでって聞かれたらまだ本調子じゃないからなにがあるか分からないから怖いんだ、適当に答えればいい。面倒くさいと言いながらも一緒に行ってくれるはずだ」 「そんなんで機嫌が直るものなのか?」 「ヤスはおそらくお前と二人きりになりたいんだよ。積もる話しもあるだろう?お前にしか話せないことだってある。黙って聞いてやればいいんだ。話しが終わるころにはいつものヤスに戻っているから」 「そうか、分かった。さすがは俺の柚原だ。男心がよく分かっている。柚原、愛してるぞ」 弓削さんが柚原さんの手を取った。 「その台詞は……」 「駄目じゃねぇべした」 「誤解されてもしらねぇーぞ」 「俺と柚原の仲なのに?」 「だから……」 長く一緒にいるからこそ、苦楽を共にして同じ釜の飯を食ってきたからこそ、誰よりも弓削さんという人となりを知っている柚原さん。 ダメだこりゃ。この男に何を言っても無駄だ。誰か、いねぇか、恋愛のスペシャリスト……。何気に見た視線の先にいたのは子供たちとシャボン玉で遊ぶあおお兄ちゃんだった。 「蒼生、ちょっといいか?」 「いいけど、イチャついているのに邪魔だろう?」 「誰もイチャついてねぇから」 「弓削、悪いが交代してくれ。難しいことはない。デカイシャボン玉を作ればいいだけだ」 「任せろ」 弓削さんに丸く変形させた針金のハンガ―を渡すあおお兄ちゃん。 「ヤスの携帯番号は?」 「何をする気だ?すごく嫌な予感がするんだが」 「別に、なにも」 ニヤリと笑うあおお兄ちゃん。

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