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番外編恋の吊り橋作戦

「何が分かったんだ?」 「おじちゃん、ひげのおじちゃんだ」 「ひげ?」 弓削さんが怪訝そうな顔をした。 「ごめんなさい弓削さん」 そこへナオさんが慌てて姿を現した。 「また転んで足をいたくすっぺ。慌てんな」 「翔さん、弓削さんって呼ぶ練習したみたいなんですけど、そ、その……真にはちょっと難しかったみたいで……」 「そのくらいで怒らない。ぶんぶんお兄ちゃんってそうか蜂谷のことか。弓削でもひげでもいい。呼びやすいほうで呼んだらいい。ちゃんとごめんが言えるんだ。偉いぞ」 弓削さんに頭を撫でてもらうと真くんはたちまちにこにこの笑顔になった。 「うちは託児所じゃねぇぞって言っても、夏休みだからな。同じ市内に住んでいてもなかなか遊びに来れないし、こんな時でもないと一太たちと遊べないからな。思いっきり遊んだらいい。怪我をしたらしたでそんとき考えればいい。未知、ごめんな。いつも任せきりで」 「僕はなにもしてないよ」 慌てて首を横に振った。 「そう言えば弓削が髭を剃って欲しいって。子どもたちにチクチクして痛いって言われてろくに手入れしていなかったことに気づいたみたいだ」 「僕、やったことないよ。それこそ床屋さんに任せたほうがいいと思う」 「弓削曰く、髭剃りは験担ぎなんだってよ。でもまだ手が震えるから自分でやるのは怖いんだって。未知、悪いが頼むよ。ちょっとだけ剃って、あとはヤスに頼めばいいし」 「分かった」 「ありがとう未知」 唇に触れた軽いキスのあと、ぎゅっと抱き締められた。

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