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番外編恋の吊り橋作戦
「は、遥琉さん、あ、あの、写真撮影があるんじゃなかったの?」
真っ赤になりながら聞くと、
「行かないといけないのは分かっている。待たせていることも分かっている。俺はやっぱり未知が好きだ。こうしているときが一番幸せを感じる」
彼が微笑んだまま抱き締めてくる腕に力を込めた。
しっかりと愛を告げられれば嬉しさが胸の奥からこみ上げてくる。
「……遥琉さんのことが、僕も好きです……」
恥ずかしかったけど思いを声にすると、彼も嬉しそうに笑んだ。口付けられると幸せで全身がふわりと浮いたような気がした。
大広間で四姉弟揃っての初めての記念撮影がはじまった。
青空さんはタンクトップにジ―ンズといういつもの格好で、ナオさんと翔さんはカジュアルな普段着姿で、みずほさんだけは着物姿だった。
「記念撮影って聞いたから気合いをいれてきたのに……」
「みずほさん、よくお似合いです」
「お世辞でも弟に褒めてもらうと嬉しいものね。議員辞職してからは着る機会がないから、たんすの肥やしになっていたのよ。やっぱり着替えてくるわ。ちょっと待ってて」
みずほさんは紫さんに手伝ってもらいすぐ隣の部屋で着物を脱ぎ、上下赤色のスエットに着替えた。
「これが一番私らしい」
「こんな素敵な着物なのに。またたんすの肥やしに戻るのね」
「それ、売ろうと思って。病院代とミルク代とオムツ代が結構かかるのよ。地竜にいつまでも甘えてばかりはいられないから。少しは自立しないと」
みずほさんが決意も新たに、よし、頑張るわよ。気合いを入れて青空さんたちのところへもどった。
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