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番外編恋の吊り橋作戦

「花なんか柄でもないか」 車窓から見える懐かしい風景を目を細めて眺めていた弓削さんがボソリと呟いた。 「そんなことはないです」 隣に座る玲士さんが首を横に振った。 「壱東、悪いが一ヶ所寄ってもらいたいところがある。最後に寄ったのはちょうど一年前だからもう閉店しているかも知れないが。診療所のすぐ近くに花屋があるんだ」 「花屋ですか?何度も診療所には通ってますが花屋なんてありましたか?」 「自宅の一階を改装して営業をしている。看板もないから気付かないと思う」 「なるほど。分かりました」 バックミラー越しに壱東さんが頷いた。 「どうだ慣れたか?」 「卯月さんや舎弟の皆さんがとても良くしてくれるので感謝しかありません」 「なら良かった」 「譲治に皆さん優しくしてくれますし、覃さんも気兼ねなく私に話しかけてくれますし。息子がもう一人増えたようなそんな感じてす」 「いいのか、覃みたいなヤロウが息子の彼氏で」 「譲治が幸せならそれでいいです。あぁ、見えて、覃さんはバカが3つつくつくらい真面目というか律儀というか……譲治のことを本当に大事に思ってくれているので口出しをせず見守ろうと思います」 「弓削さん、壱東さん面白いんですよ。仏間の柱になりたいって」 「玲士さん、恥ずかしいんでそれ以上は止めてください」 壱東さんが慌てて玲士さんの言葉を遮った。

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