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番外編恋の吊り橋作戦
「心配なのは分かるが、そのうち構わねぇでくんちょ、うっつぁしって怒られるぞ」
「構いたいですし、怒られたいんですよ。玲士さん、つかぬことを聞きますが親御さんは?」
「二人とも元気だよ。大学まで行かせてくれた親に、仕事を辞めてヤクザになったことはなかなか話せなかった。福島で亜優と生きていくって勘当覚悟で話したら、二人はすでに知っていた。兄が千里さんの熱心なファンだということも知っていた。その千里さんが兄のように慕っている卯月さんの婿になる。これもなにかの縁なのかも知れないって」
「理解のある親御さんで良かったですね」
「そうなるまでに葛藤があったはずです。おいそれとすんなりと受け入れられるわけがないですかね。俺は親不孝な息子です」
「そんなことはありません」
「壱東の言う通りだ。そこの角を左に曲がってくれ。狭いから気をつけろ。中華料理春神楼の隣だ」
弓削さんの指示通り左折すると本当に春神楼と書かれた中華料理店があって隣に花が飾られてある二階建ての家が建っていた。弓削さんの言う通り看板はなかった。
ちょうど白髪まじりの女性がジョーロで花に水を撒いていた。
「寿々子さんお無沙汰しています」
弓削さんが身を乗り出して声を掛けると、
「あれ、もしかして弓削さん?」
女性が驚いたような声を出した。
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