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番外編恋の吊り橋作戦

「壱東、ここでいい。事務所には戻らずそこのパーキングで待機してくれ」 「昨日ミツオさんたちが襲われたばかりです。弓削さんくれぐれも気を付けてください」 「ありがとうな。壱東こそ気を付けろよ。もし柄の悪い連中に囲まれたら絶対にドアを開けんなよ。躊躇しねぇでカシラに連絡しろ」 「分かりました」 壱東さんの表情が引き締まった。 中町夢通りにあるデパートの前で車をおりる弓削さん。満車だったのがタイミングよく一台車が出て、壱東さんは無事に駐車場に入ることができた。弓削さんは駐車する場所を確認してから花束を抱えてすたすたと歩き出した。玲士さんが小走りであとにつづいた。白雪美容室に近付くにつれて焦げ臭いが鼻につくようになった。 「玲士、大丈夫か?」 「弓削さんこそ大丈夫ですか?」 「俺を誰だと思ってんだよ」 ニヤリと余裕の笑みを浮かべる弓削さん。 先回りしていた舎弟たちが弓削さんたちを出迎えた。 「やけに静かだな」 外壁が黒く焦げている隣のビルを見上げる弓削さん。玲士さんと数名の舎弟たちと一緒に規制線が張り巡らされたビルのなかに入っていった。足元に散らばるごみの山を掻き分けながら前へ進む弓削さんたち。階段をのぼり白雪美容室の前まで来ると花束を供えてそっと手を合わせた。顔を上げるなり、 「誰かいる」 ボソリと呟くと険しい表情を浮かべ、白雪美容室と書かれたガラス扉を睨み付けた。 「兄貴、誰もいやしませんよ」 「幽霊が出るって噂があるくらいです。誰も好き好んで近寄りませんよ」 舎弟たちが口々にそんなことを言っていたら、ガタンとなにやら物音がはっきりと聞こえてきて。舎弟たちの顔が青ざめ恐怖に身を震わせた。 「おぃ、立ち入り禁止だろ。不法侵入で訴えるぞ!隠れていないでさっさと出てこい!」 怒気を帯びた声を張り上げると、ぎぃ――っと唸りながらガラス扉がゆっくりと開いて四十歳前後の男が姿を現した。

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