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番外編恋の吊り橋作戦
「図星か」
「うるせ―。どけ」
聞かれてはまずいことがあるのかカドタさんたちが弓削さんの体を押し退けて強行突破しようとした。でも、
「アタタタ」
弓削さんは一人の男の手首をガシッと掴んだ。
「不法侵入に泥棒か。いい度胸をしてるな」
「なんのことですか?」
「惚けるんじゃねぇよ。ポケットの中に入っているものを出せって言ってんだよ」
「なにも入ってませんよ」
「この期に及んでもシラを切る気か?」
淡々とした口調で、つけ入る隙を与えずじわじわと相手を責める弓削さん。
「お前、もしかして菱沼組のナンバ―2だった男か」
カドタさんはようやく弓削さんのことを思い出したみたいだった。
「やっぱりおめさん、もともとは神政会だろ?吉柳会は鷲崎組の傘下だったからな。構成員なら俺のことを大概知ってるはずだかな。なんで俺のことを知らねぇんだ、おかしいとは思ったんだ」
ナンバ―2だったと聞いて男が慌ててポケットからライターを取り出した。
「そっちに入っているのも渡せ」
「なんで分かったんだよ」
ぶつぶつ言いながら反対側のポケットから出したのはオイルライタ―だった。
「こだおっかねぇものを持ち歩くな。放火魔だと間違えられても文句は言えねぇぞ」
「大きなお世話だ」
男が吐き捨てた。
階段を駆け上がってくる複数の足音にいち早く気付いた弓削さんが、道を開けてやれと舎弟たちに命じた。挟まれたら最後。逃げ場はない。
「弓削さん」
「心配するな。なるようにしかならない」
弓削さんはこんな状況でも余裕綽々としていた。
「花にはなんの罪もねぇのにな。もごせな」
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