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番外編恋の吊り橋作戦

「オヤジから愛妻家だと伺っています」 「いや、そんなことはありません。卯月さんには負けます。どうですか?福島での生活には慣れましたか?」 「まだ慣れていません」 「気負いすぎだと言われてるもんな。緊張するな、肩の力を抜け」 宋さんがふふっと笑いながらコ―ヒ―をゆっくりと口に運んだ。 「そういえば宋さん、若林が連絡がつかないと心配していましたよ。お忙しいとは思いますがたまには連絡をしてやってください」 「ただでさえ名前を聞いだけでも会いたくなるのに、声を聞いたら最後。我慢できなくなるだろ?泣かせたくなる。弄りまわしたい。撫でまわしたい」 「お互い好きなら告白すればいいのに」 「それがな、お互い越えればならぬ高い山がある」 「それは分かりますが。一年なんてあっという間ですよ。五年……下手したら十年後になりますよ。今どき国際カップルなんて珍しくないですよ」 四月に出会って翌月には入籍したこと、妻を殺し逮捕された異母兄の子ども二人を引き取ったこと、妻の四季さんが僕と同じ両性であること。和真さんと宋さんの会話を玲士さんはただ黙って耳を傾けていた。

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