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番外編恋の吊り橋作戦

「うねめ祭りが血の祭りにならないことを祈るだけだな。西口駅前広場は目の前の信号機を渡った所だ。隠れるところもないどうぞ命を狙ってくださいと言ってるもんだろ?卯月がいない隙を狙うにはうってつけだ」 「弓削さんはそれを知っているんですか?」 「知ってるからこそ早く退院したんだろ?理由はどうにでもつけられる。弓削が死に急がねぇようによっくど見張っておけ。和真にはハチと青空が弾よけにつくと聞いた」 「行かない選択肢がいちばん妻と子どもたちを危険な目に遇わせなくて済む方法なんですが、上の子にプラネタリウムと屋台に連れていくと約束してしまったです」 「しゃあねぇべ。アイツが来るなんて誰も聞いてない。誰もこんなことになるとは予想していなかった。誰も悪くねぇ」 宋さんの男らしくキリリとした表情に、変態は世を忍ぶ仮の姿なのかも。こっちが素の宋さんなのかも。と玲士さんが本気で考えはじめた。 その頃度会さんの家では、根岸さんからほらやる。いつもありがとうなヤス。とぶっきらぼうな言い方で、オレンジのカーネーションを渡されたヤスさんが固まっていた。 「純粋な愛、清らかな慕情、あなたを愛します。へぇ~~愛情を示す花言葉を持つ花なんだ。初めて知った」 彼が携帯で検索をかけて読み上げていた。 「まさかそんな花言葉をもつ花だとは弓削は知らなかった。ということは玲士の差し金か。なかなかやるじゃねぇか」 「遥琉さん、どうしたらいい?」 「どうするもこうするも高みの見物といくか」 彼が愉しげに笑いだした。

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