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番外編恋の吊り橋作戦
「玲士さん、宋さんと和真さんと雨宿りデートをしているみたいですね」
「玲士さんに和真さんを引き会わせたいってずっと遥琉さんが言っていたので二人が出会えて良かったです。宋さんに感謝しないと」
「そうですね」
心配事でもあるのかため息まじりに今にも泣き出しそうな鈍色の空をふと見上げる橘さん。
それから数分後。あおお兄ちゃんが本部から手配書が回ってきたと彼を探しにきた。
「千里の話しだと、ひかりのみこが額田みずほを暗殺するためにひそかに殺し屋を送り込んだらしい。その顔、知っていた顔だな」
「えぇ。宋さんが丁重に挨拶をしてくる。そう言って出掛けましたから」
「玲士と朝宮は大丈夫か?」
「ですから家族連れや学生が多いド―ナツ屋さんにわざと入ったんですよ。和真さんがいたのは誤算でしたけど。無差別に一般人を狙い怪我をさせたとなれば大事になりますからね。敵もそこまで馬鹿ではないはずです」
「カドタがうろちょろしているんだぞ」
「カドタなど取るに足りん男だ。舎弟を見捨てて自分だけ逃げるなどヤクザの風上にも置けない」
コインランドリーに出掛けていた柚原さんが洗濯物を両手に抱えて帰ってきた。
「もしかしてその格好で出掛けたのか?」
「あぁ、そうだけど」
柚原さんは胸にゾウの絵柄がプリントされてある水色のエプロンを着ていた。
「予報では午後から天気が下り坂だったからシ―ツとバスタオルを洗濯してきた。変か?」
「いや、すごく似合っている。すれ違っても誰もヤクザって気付かないよ」
「ロンの噂は風の便りでちらほらとは聞いていた。まゆこの信者はみな変わり者が多いからな」
「さすがは柚原だ。情報が早いな。変わり者って、ただ単に頭がイカれているだけだろう」
あおお兄ちゃんがそれに変態ばっかりだ。ボソリと呟いた。
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