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番外編恋の吊り橋作戦
胸騒ぎがすると、玲士さんに電話を掛けた彼。なかなか繋がらなくて切ろうとした時に、今えらいことになってて。あとで必ずかけ直します。と玲士さんの切羽詰まった声が聞こえてきた。
「ロンから挨拶代わりに一発食らったか?」
ー挨拶代わりに家族連れが座っている席を普通狙いますか?貫通はしていません。蜘蛛の巣状にヒビは入ってますがー
「脅かすつもりで祭りの提灯を狙ったつもりが的を外したんだろう。はた迷惑な殺し屋だ」
みずほさんが宿泊しているホテルは偶然にもドーナツ屋さんのすぐ隣だった。安全を考慮してホテルには帰らず翔さんらと一緒にいるから無事だ。玲士さんから掛かってきた電話を切ると、
「物騒な世の中になったもんだな」
隣にいる地竜さんに話しかけた。
「宋も同じことを言っていた。そろそろ帰ろうと思う。居心地が良くてずっとここにいたくなる。でもそれじゃあ駄目なんだ」
「平々凡々な人生も悪くねぇぞ」
「俺の手は血で汚れきっている。もう後戻りは出来ない」
寂しそうにそう言うと側に控えていた覃さんに明日発つとだけ短く伝えた。
「ボス、もしかして泣いてるのか?」
「泣いてない」
「へぇ~~そうなんだ。泣いてないんだ。じゃあ、なんで濡れてんだ?それも気のせいか?」
地竜さんの顔を覗き込んだ。
「五月蠅いな。じろじろ見るな」
地竜さんがぷいっとそっぽを向くと、
「涙脆いボスのほうが人間味があっていい」
覃さんが愉しそうに笑い出した。
「大男二人が人目もはばからずいちゃついているようにしか見えないのは俺だけか」
「いえ、俺もそう思います。同じ身長だとずっと思い込んでいたが、こうして並んで見ると覃のほうがちっとずないんだな」
弓削さんがふらりと現れた。
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