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番外編恋の吊り橋作戦
「あの、さっきからこちらを見ている方いらっしゃいますよね?」
「いらっしゃるな」
「どうしてお二人はそんなに落ち着いていられるんですか?」
「腹が減っては戦ができぬ。それに俺らがわざわざ行かなくても、ほら」
宋さんが窓の外をチラッと見ると、信号が青に変わり、斜め向かい側にある駅前交番から何人ものお巡りさんが横断歩道を急いで渡ってくるところだった。
「パッと見た感じ女性だと思いました」
「なんで若者は訳の分からない、いかにも胡散臭い宗教にハマるんだ?でもなぁ、信仰は自由だからな。そこが難しいな」
「そうですね。親の気持ちになるとやりきれません」
雨が降っているのに関わらず傘もささずに、ニタニタと薄気味悪く笑いながらなおも銃口をこっちに向けるロン。
「逃げないのか、アイツは」
宋さんがコ―ヒ―を飲みながらロンの唇の動きを読んだ。
「うるさいハエどもミナゴロシ。物騒なことしか眼中にないのか。頭がイカれている」
お巡りさんに銃を下ろせと言われて素直に応じる訳がない。威嚇のために空に向かって発射するロンに、
「で結局お前は一体何がしたいんだ」
頬杖をついて宋さんがため息まじりに呟いた。
柚原さんに電話を掛けてきた人は一人じゃなかった。
「親子連れの熊が建設会社の事務所に立てこもっている。すぐ目の前には病院と老人ホームがある。立てこもる前に散歩していた高齢の夫婦を襲ったらしく猟友会に駆除の要請が来た」
電話を掛けてきたのはどうやら甲崎さんみたいだった。玲士さんが巻き込まれてないか心配で電話を掛けても繋がらない。それで柚原さんに電話を掛けてきたみたいだった。
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