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番外編恋の吊り橋作戦
「宋がいるから心配ない。命を狙われるほど相手に自分の存在を認知してもらえた。喜ばしいことだろ?」
トランシーバーに猟友会の仲間からひっきりなしに連絡が入ってきていた。
「そろそろ行かないと。オヤジに連絡をしてくれ」
そう言うと電話を切る柚原さん。
「熊の話しをしたらまさか本当に熊が出るとはな」
「場所はどのあたりですか?」
「磐梯熱海の旧国道沿いだ。優璃、あとは頼んだんだ」
「柚原さん、くれぐれも気をつけて下さいね」
「分かった」
柚原さんの表情が自然と引き締まる。みんなが知っている優しいぱぱたんの顔から、雄々しく勇ましい表情に変わった。着替えと準備をするために根岸さんたちと一緒に住んでいるアパートに立ち寄ると言い残して出掛けていった。
彼のところに鞠家さんから玲士さんたちを助けに行くべきか、指示をあおぐ電話があった。
「信者がまわりにいると面倒なことになる。だからもう少し様子を見ろ」
電話を切る彼。そこへ、
「ねぇパパ、ぱぱたんしらない?どこにもいないの」
絵本を両手で抱えた遥香がひょっこりと姿を現した。
「これをよんでってやくそくをしたのに……」
彼から急用が出来て出掛けたと聞くとしょんぼりとして肩を落とした。
「はるちゃん、ままたんが読んであげます」
「だってままたんもいそがしいんでしょう?」
「ちょうど今、手が空きました」
橘さんが割烹着姿のまま遥香を部屋に連れて行ってくれた。
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