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番外編恋の吊り橋作戦
「卯月、さっきから携帯で何を見ているんだ?」
「菱沼ビルディングの各階に設置された監視カメラの映像だ。俺に頼らずとも鞠家なら出来る。大丈夫だ。それは分かってはいるんだがやっぱり心配でな。俺も婿には甘いよな。本当はガミガミと怒鳴り散らして厳しく接したほうがいいんだろうが。それがどうも苦手で。上に立つものがこれじゃあ示しがつかないよな」
ため息まじりに苦笑いをもらす彼。
「それでいいんだよ。卯月はガミガミ怒鳴るより褒めて伸ばすほうが似合うよ」
地竜さんがふと手を止めて彼の顔をじっと見つめた。
「何か付いているのか?」
「蜘蛛の巣が付いている」
「マジか」
「動くなよ。せっかくのミルクプリンが食べれなくなる。子どもたちに泣かれるから」
「おぅ」
言いつけをちゃんと守って左手にボウル、右手にスプーンを持ったままじっとする彼。
「なんか可愛いな」
クスクスと地竜さんが笑い出した。
「お前が動くなって言ったから」
「言ったよ。でもこんなに素直に言うことを聞くとは思わなかったから。あともうちょいで全部取れる」
地竜さんが蜘蛛の巣を丁寧に取り除いてくれた。
「地竜ありがとう」
「卯月、それ一口ちょうだい。味見がしたい」
「そうか。ほら」
スプーンを差し出す彼。
「手まだ洗っていないから食べさせてくれ」
「は?」
「は?じゃないだろ?」
「たくしょうがねな。これ一回きりだぞ。おぃ、地竜。つま先立ちになるな。届かねぇだろうが。俺がチビだからって喧嘩を売ってんのか?」
口ではなんだかんだ言いながらも世話好きの彼。地竜さんにミルクプリンを一口食べさせてあげた。してやったりと言わんばかりに地竜さんがニヤリと笑った。
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