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番外編恋の吊り橋作戦

「覃さんって冗談抜きで綺麗な目をしていますよね」 「そうか?」 「視線が合うと吸い込まれてしまいそうなほど、人の心を惹きつける。オヤジもそうですけど覃さんも肌が綺麗です。思わず触りたくなります」 「減るもんじゃねぇし、触ってもいいぞ」 「あとが怖いので止めます」 「なんだそれ。ジョーの焼きもちを妬いた顔が見れると喜んだのに。一瞬だったか。これが俗にいうぬか喜びというヤツか。なるほどな、一つ勉強になった」 「覃さんくらいの器量持ちならどの組でも重宝がられます。出世街道まっしぐらじゃないですか?なのになんでわさわざ危ない橋ばかり渡ろうとするんですか?それになんで菱沼組なんですか?本部や縣一家や龍一家のほうが交通の便だっていいし東京のど真ん中だし」 あおお兄ちゃんと弓削さんが、俺らも聞きたいなとふと漏らした。 「なんでだろうな。一つ言えることは身も心も全部ボスのモノであり自分のモノじゃない。ナンバー2になれと言われれば喜んでなるし、俺の代わりに死んでくれとボスに頼まれれば喜んで死ぬ。金をどんなに積まれても他所に行く気はない。俺が菱沼組に入り浸る理由はジョーもいるし、ボスの愛人《アイレン》がいるからだ。他に理由はない。田舎者だからな、都会の水は俺に合わないのかもな。それにここにいると毎日スリリングで飽きないからな。楽しいぞ」

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