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番外編恋の吊り橋作戦

「カシラあとを追わなくていいんですか?」 「これ以上怪我人を出すわけにはいかない。追わなくていい」 切羽詰まった状況でも鞠家さんは普段となんら変わらず。冷静そのものだった。 「ここがどういう所か分かって乗り込んできたんだろ?この落とし前はどうつけるつもりだ?」 ことの重大さにようやく気付き動揺する信者たちをじろりと睨み付けた。 救急車のサイレンの音が大きくなり、信者たちは蜘蛛の子を散らすかのように慌てて逃げ出した。 「置いてくなよ!」 「嘘だろ」 ロンが狙ったのは菱沼組でなく仲間の命だった。 「ようは用済みってことだ。動くと傷口がさらに開いて血がどばどばと流れて止まらなくなるからそこから動くんじゃねぇぞ」 佐治さんが足を撃たれて動けない二人の前にしゃがみ、帽子とマスクを剝ぎ取った。 「なかなか可愛いツラしてやがる」 顎を手でクイと持ち上げると満面の笑みを浮かべた。 「俺らはただのボランティアです。何も知らなかったんです」 「募金活動はサークルの活動で……」 「おぃ、おぃ嘘つきは泥棒の始まりだぞ」 佐治さんが携帯を取り出して耳にあてた。 「あ、宇賀神組の手塚さんですか?お疲れさまです。佐治です。手塚さん好みの若いのが今二人ここにいるんですよ。ヤクザに喧嘩を売った落とし前のつけかたを手取り足取りこの二人に教えて欲しいんですよ」 「おぃおぃ手塚はまずいだろ?」 「ケツを掘られるぞ」 舎弟たちの言葉に嘘だろと青ざめた顔で漏らす男たち。そうこうしているうちに救急車が到着した。N総合病院のドクターカーだった。 「刺されたの、とあくんのあんにゃだと聞いたが」 「本人はそう言っている」 斉木先生が駆け付けてくれた。 「あの二人か、刺したのは」 「いや、違う」 首を横に振るヤスさん。

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