3806 / 4006
番外編 恋の吊り橋作戦
「K警察署から駅前まで直線距離で約3キロだ。土地勘もない初めてK市に来た七歳の子どもが一人でも歩ける距離かも知れないが、炎天下の中帽子も被らずとぼとぼ歩いていけば誰かしか声をかける。サツだって人員を増やして子どもの行方を探していたんだ。すぐに見付かるだろ?それが見つからなかった。鞠家の話しでは子どもは日焼けはしていなかった。サツの目を盗み警察署から連れ去ったと考えたほうが辻褄が合うだろ?」
「なるほどな。でも、みすみす逃がさなくても良かっただろう?」
「誉はカドタとロンと落ち合う。場所を特定するためにわざと泳がせたまでだ。あのガキ、無事だといいな。守れなくて悪かった」
やるせない悔しさに唇を噛み締めながら彼がふと空を見上げた。
「卯月は悪くない」
地竜さんがわざと明るく振る舞い彼を励ました。
「ボスの言う通りだ。鞠家は鉄壁の守りを敷いた。手抜かりはなかった。だからロンはかなり焦ったはずだ。誉まで予想外の行動に出るし。なにもかもうまくいかず今ごろ誉に当たり散らしているはずだ。ロンは完璧主義だからな、さっそく出鼻をくじかれた。いい気味だ」
覃さんがふふんと鼻歌を口ずさんだ。
その時彼の携帯が鳴った。
ともだちにシェアしよう!

