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番外編恋の吊り橋作戦
「ロンのヤツ、久し振りの獲物を前に嬉しそうにニタニタと笑っていただろう?ヤツの怒りっぽい性格はもともとだ。それで三十年近く生きてきたんだ。今さら直らない」
クククと楽しそうに笑う覃さん。ちっともおもしゃくねぇーって、玲士さんだけでなく、宋さんからも文句を言われていた。
ねえさん、ただいまと玲士さんが帰ってきたのは夕方のことだった。亜優さんが目を真っ赤にして玲士さんに抱き付いた。
「心配を掛けてごめんな」
頭を撫でると亜優さんはぶんぶんと首を横に振った。
「心配を掛けすぎだよ。これで分かったんじゃない?宋と一緒にいるとえらい目に遭うって」
「でもいろいろと勉強になった。那和、ありがとうな」
「それは紗智に言って。僕も何もしてない。ちゃんと傷の手当てをしてもらったの?」
「あぁ、こんなの怪我のうちに入らないって上澤先生に笑われた」
首に手をあてる玲士さん。包帯がぐるぐると巻かれてあった。
「オヤジと兄貴たちの武勇伝を聞いたら、まだまだ修行が足りないって分かった。オヤジと兄貴たちにいつか追いつけるように頑張るよ」
「うん、頑張って。応援している」
亜優さんが何を楽しそうに話しているの?と那和さんに聞いた。
「亜優も応援しているって。でも無理はしないでよ」
「あぁ、分かった」
玲士さんが大きく頷いた。
「宋は?」
「仕事に行った」
「相変わらず忙しい人だね。少しは自分をいたわってあげればいいのにね」
ぷぷっと笑い出す那和さん。
「そういえば誉はどうなったの?」
「カドタに拾われたんじゃないか?宋に首根っこを掴まれて車から力ずくで引きずりおろされたのは確かだ。そのあとは見ていない。宋もすごいんだな。次元が違う」
「宋と覃だけは止めておいたほうがいいよ。体がいくつあっても足りなくなるからね」
「分かったよ」
こんなにも心配してくれる人が側にいてくれる。それが何よりも嬉しい玲士さんだった。
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