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番外編恋の吊り橋作戦
「ものすごく痛かったんですよ。見て下さいよ、赤くなっているので」
前髪を手で掻きあげておでこを見せる玲士さん。
「敵と変態から身を守るためには常に前後左右に目を配り些細なことにでもすぐに気付ける洞察力とすぐに動ける俊敏力を鍛えるのは必要不可欠だ。いざというときに人は動けないものだからな。有難いことだろ?」
「蒼生さんってポジティブですよね」
「そうか?そうでもないぞ」
お風呂から上がり浴衣姿で縁側で涼むあおお兄ちゃん。
「その程度の怪我で済んで良かったな」
「はい。でも亜優とねえさんを泣かせました」
「そうか」
くくくと笑いながらキンキンに冷えたノンアルコールビールを飲むあおお兄ちゃん。
「誉はどういう反応をしていた?教えてやったんだろ?」
「目が点になっていましたよ。俺は逃げも隠れもしません。いつでもかかってこいと言いました」
「喧嘩を吹っかけたのか?たいしたもんだ。さすがは兄貴が見込んだだけはある」
ほろ酔い気分のあおお兄ちゃん。玲士さんと愉しそうに笑いながら話しが盛り上がっていた。
「佐治に呼ばれたから急いで来たんだが、組事務所に佐治がいなくて、もしかしたらこっちにいるかと思ってそれで顔を出してみた」
まさか本当に手塚さんが来るとは誰も思っていなかったからみんな驚いていた。
「そんなに驚くことでもあるまい。佐治はカシラの伴侶になる人だ。呼ばれたらどこにいてもすぐに駆け付けるのが当たり前だろ?」
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