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番外編恋の吊り橋作戦
「用が済んだらさっさと帰れ」
手塚さんに会うなり開口一番そう口にする彼。
「相変わらずつれないですね。本当は私に会いたかった癖に」
フフッと笑う手塚さん。
「滅多に笑わない男が笑うとこえーな。そういえばナナシは?元気なのか?」
「私の側に置いて朝から晩まで可愛がっていたんですよ。最初は毛を逆立てて威嚇してきたり、ツンツンしていたのに甘えてくるようになってそれがまた可愛くてついつい泣かせてしまうです。恋人になってくれと告白しようと思った矢先、それが残念なことにご両親が迎えに来たんですよ。探していますのチラシを見たお兄さんから弟かもしれないと連絡が来ましてね。ナナシがいなくなり心に穴が空いたようになっていたので佐治から連絡をもらったときは嬉しかったのですよ。楽しみでなりません」
にっこりと満面の笑みを浮かべる手塚さん。
「手塚、今回は二人だぞ」
「それがいいんじゃないんですか。楽しみが二倍で。鼻っ柱の強いじゃじゃ馬ほど躾しがいがあるというものです。私どもで立て替えた治療代の分はしっかり体で払ってもらいます。ヤクザに喧嘩を売ったらどうなるか身を持って経験していただくいい機会じゃないですか」
手塚さんが持ってきたあるものを見せられ、相変わらず悪趣味な男だ。アイツらが不憫に思えてきた。と言いながらため息をつく彼。
「二人に首に縄をつけるのは福島を出てからにしろ。県警アプリを見れば分かるが、サツがインターの料金所と国道のあちこちで検問をしているから」
「分かっていますよ」
「病院に案内する」
彼と一緒に病院に向かった。手塚さんが持ってきたのはSMプレイで使う首枷と手錠だったみたいだった。
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