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番外編恋の吊り橋作戦

「みずほさんおはようございます」 陽葵を抱っこしてペコリと頭を下げる一太。 「一太くんおはよう。ずいぶんとまぁ早起きね」 「ひまちゃんがお腹空いたって泣いていたので起きたんです。ママを探しているんです」 「あら、そうなの。一太くん大丈夫?おばちゃん代わりに抱っこしてあげようか?」 陽葵を落としそうでヒヤヒヤする額田さん。 「ひまちゃんのことはいつも抱っこしているから大丈夫です。心配してくれてありがとう」 一太がニコッと微笑んだ。 「偉いわね。やっぱり一太くんはお兄ちゃんだね」 額田さんに褒められて顔を真っ赤にする一太。 ちょうどそこへ彼が姿を現した。 「額田さん、お待たせしてすみません」 「一太くんとお喋りしていたので待ってませんでしたよ。朝早くからお邪魔してごめんなさいね。卯月さんの顔を一目見てから帰ろうかなと思って」 「俺じゃなくて未知と青空の顔をでしょ?」 「あら、やだ。なんで分かったの」 「分かりますよ」 額田さんにそう答えると、一太の顔を見た。 「一太、ママはままたんと一緒にいる。いつもありがとうな」 「一太はみんなのお兄ちゃんだもの。一太に任せていいよ」 「じゃあ、陽葵をママのところまで連れていってくれ。一太、任せたぞ」 「うん、分かった」 お腹空いたよね、もうちょっと待っててね。陽葵に声を掛けながらゆっくりと歩き出す一太。 額田さんはしばらくの間目を細めて一太の後ろ姿を眺めていた。

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