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番外編恋の吊り橋作戦
収拾がつかなくなるからと彼が信孝さんを引っ張っていった。
「お前はいいだろう。兄貴といつも一緒、毎日でも会えるだろう」
恨み辛みを口にするあおお兄ちゃん。
「新幹線が止まっているみたいなんだ」
「ここさいろってことじゃないか?」
「引き留めてくれるのは嬉しいんだが家族が待ってるからな。そろそろ帰らないと家にいれてもらえない」
「そうか。千里の機嫌が悪くなる前に何としても帰らないとな」
あおお兄ちゃんと弓削さんがそんなことを話していたころ僕は渋川さんと話しをしていた。
「渋川さんはなんて?」
橘さんに不意に声を掛けられたからドキリとした。
「分かった。それだけ言うとすぐに電話が切れてしまって。僕何かしたかな」
「未知さんは何もしていませんよ。渋川さんはあぁ見えて意外と恥ずかしがり屋ですからね。気にすることはないですよ。鷲崎さんにも掛けたんですよね?」
「それが繋がらなくて。あとで掛け直します」
那須塩原駅を五分遅れて発車した新幹線が異音を感知して緊急停止したというニュースがテレビから流れてきた。
「額田さんこれに乗ってませんよね?」
「そうだといいですね」
橘さんとテレビの画面を見つめた。福光さんの娘というだけで逆恨みされて襲撃される恐れがあるからと護衛を何人も付けているから心配はないんだろうけど、それでも心配だった。何事もないようにと祈るしかなかった。
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