3826 / 4006
番外編恋の吊り橋作戦
でも三分と経たずに電話が鳴った。
「すごく嫌な予感がするんですけど……」
「私もです」
「額田さんに万が一のことがあったらどうしよう」
「護衛がついているとはいえ、戦闘能力に長けた敵を相手にどう守るか。女性や子どもなど一般人を人質を取られれば手も足も出せません。敵の言いなりになるしかないですからね」
電話に出るのが怖かったけど逃げてばかりいたら前へ進まない。覚悟を決めて通話ボタンを押した。
ー車掌の説明によると荷物棚に置かれたペットボトルが突然爆発したようだ。怪我人が出ている。何両目かまでは分からないー
「額田さんが乗っている新幹線なんです」
ー額田?あぁ、元国会議員か。日本に帰ってきていたんだー
「青空さんに会いに一時帰国して、今朝早くアメリカに戻ったんです」
ーそれで巻き込まれかー
「うわぁ~~びっくりした」
何気に膝の上を見たら太惺がちょこんと座っていたから思わず声に出してしまった。ぜんぜん気付かなかった。いつからそこにいたんだろう。橘さんは気付いたみたいでクスクスと笑っていた。
ーどうした?ー
「すみません大きな声を出してしまって。鷲崎さんの声を聞いて太惺が……」
ーおぃ、おぃ。俺を朝から泣かせる気か。参ったなー
と口では言いながらも、たいくん、おじちゃんだよ。おはよう。ずいぶんと早起きだな。と嬉しそうに太惺に声を掛けていた。しばらくすると、
ー覚さんばかりズルいよー
七海さんが割り込んできた。
ともだちにシェアしよう!

